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24年前 つづき


K中学のG田。

今でもそうなのだが、「足利を制すれば県も制す」と言っても過言ではないほど、足利の柔道のレベルは高い。県のベスト4のうち、三校が足利勢なんてこともあったし、県のみならず、関東や全国の優勝者を輩出することもままあるレベルの高さだ。

この年の足利のレベルも高く、県を制し、関東大会でも3位という成績を収めていたのがK中学。
そこの絶対的エースがG田であった。
小学時代から全国で活躍し、某オリンピックチャンピオンもG田の名前を口にするほど、有名な選手であった。

先生から対戦を告げられた時、ビビったのは事実だが、僕もそれなりに練習してきた。何かやってやれるだろうと、それでも高揚感があったのも確かだ。

試合開始。第一試合。
開始線に立ち、相手と向き合う。
身長は180cmを少し超えるぐらい。デカさ以上に威圧感が半端ではない。同じ中学生かと思える顔付き。それでもこの時までは、気持ちでは負けないよう気合いは入っていた。

「始め!」の声と共に気合いを入れて組みに行った。

「一本!」

大外刈りだったか。
物凄い力とスピード。畳にめり込んだと思ったぐらいの勢いで叩き付けられた。
試合時間は3秒だった。

何かもう、あまりの呆気なさに、悔しいとかなんとかより、呆然とするしかなかった。
井の中の蛙の天狗の鼻折れ。
本当に心が折れたのだと思う。悔しさがあり、
「必ずいつかアイツを倒す!」
とか思えたのなら、また違ったのかもしれないが、この時僕が思ってしまったのは、
「アイツには何をしても勝てない」だった。


少しでも悔しい気持ちがあれば、また努力し続け、挑戦することは出来ると思う。
しかし、悔しさまでも失ってしまうと、諦め時なのかとも思う。勝ち負けが全てではないし、また別の目標を立て、進んで行く道はあると思うけど。

今回の陸上大会。
全力を出し切り、それで負けたのなら、もしかしたら諦めがついて、もう終わりでもいいかと思えたかもしれない。
しかし今回は自分に負けた。これほど悔しいことは無い。このままで終わる訳にはいかない。

たかが市民体育祭。いい歳こいて何をそんなに熱くなってるのか。無駄な時間を費やしてんじゃねーよと思う人もいるかもしれない。

だが、終われないものは終われない。

来年必ずまた、あの場所に戻ってくる。
誰に勝つとか、記録を出すとか、そんなことの為にではない。

負けた自分に勝つ。
その為に。






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