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旧友 おわり

本題に入る前に、一つ訂正。

前回チンが、バイクで壁に激突して、吹っ飛ばされても大した怪我をしなかった、という話を書いたが、一応それなりの怪我をしたらしい。あと、
走馬灯は見えなかったから、見えるというのは嘘だと言っていたが、見えちゃったら死んでたんじゃないかいチンくん。

では本題へ。

フューエルコックかキャブレターから、
ただならぬガス漏れ。
ガス漏れじゃ大したことねーじゃん。
と思っている人もいるかも知れない。
確かにガス漏れだけなら、そんなに慌てる必要もないだろう。

しかし、この時、僕(多分チンも)は、
バイクに跨りながらタバコを吸っていたのだ!

もし、熱を持った灰の一つでも、足元のガソリンに落ちようものなら、僕とチンは吹っ飛ばされるか丸焦げになるかのどちらかである。
ガソリンなんて、石油に毛の生えたようなものだろうと思う人もいるかもしれない。
とんでもない。ガソリンの爆発エネルギーはハンパではない。信じられない人は、youtubeでガソリンに火を付ける、おバカさんの動画やらあるので観てもらいたい。

上手く表現出来ないのだが、言い様のない恐怖を感じながら死を覚悟したというのか、終わった、
という思いか、後にも先にも味わったことの無い感情を覚えた。

気がつくと、道路脇の歩道にヘタレこんでいた。多分腰が抜けたのだろう。とっさにタバコを投げ捨てたのか、バイクから飛び降りて逃げたのか、全く記憶にない。どうやらバイクも無事なようだ。
多分、その後バイク屋にレッカーを頼んだのだろうけど、あまりに呆けたせいか、その時何をしたのか、今でもよく思い出せないのだ。
ただ覚えているのは、死を真近に感じた。
それだけだ。

それから何年かして、チンは若くして結婚。
今は、二児のパパである。
チンの結婚式は、僕たち高校の同級生が手作りで行った。手作りと言っても、式場まで借りた結構大掛かりなもので、段取りをとりまとめていた友達は、プレッシャーがかかり過ぎて胃に穴が空いたほどだ。
この式で僕は、牧師を務めさせてもらった。
先日チンが、「俺たちは仲良し夫婦だ!」
と言っていたが、それは僕が指輪交換したのと、
イエスキリストの御名によって、祝福を祈ったおかげであるということを、いつまで忘れて欲しくないものである。


おわり。

ベテル英数塾

 

 

 

 

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